GTFSデータを作るのって大変ですか?

担当:諸星賢治(合同会社MoDip)

行政担当者
行政担当者

GTFSデータを作るのって大変ですか?

天の声
天の声

運営する公共交通の規模が小さければ、1日もかからないずに作成可能ですよ

GTFSデータを作成する前に

 「GTFSってなんですか?」でも紹介したGTFSデータですが「データを作るのが大変そう」「データの更新が大変そう」という声をよく聞きます。確かにGTFSデータに必要なテキストファイルを1つずつ手入力で作成しようとすると大変な作業となります。しかし、国内においてはGTFSデータが出力できる無償ツールも多数用意されており、ハードルが下がってきたと言えます。
 ただし、GTFSデータは「一度作成したら終わり」という性質のものでなく、バスの運行内容に変更があればその都度変更が必要です。また、GTFSデータの有効期限は最長1年という制約が有るため、最低年1回はデータを更新をしなければなりません。
 一度GTFSデータを作成しGoogleマップ等での案内に利用したり、オープンデータとして公開した後、ダイヤ改正等の変更情報に合わせてデータ更新せずに放置してしまうと、利用者に誤った情報が提供される事になり、結果として公共交通に対する不信感を抱かせる原因にもなり得ます。GTFSデータ作成時には、データの更新についても必ず意識をするようにして下さい。

GTFSデータの作り方

 理想的なデータの作成方法は、事業者が運営する公共交通の規模やシステムの導入状況等により異なります。方法を検討する際のコツは、初回のデータ作成時にかかる手間だけで判断せず、今後のデータ更新がなるべく楽な方法を選択することです。
 データが更新できている事業者の多くは、国内外を問わず公共交通の運営に必要な通常業務で利用しているシステムがGTFS形式のデータ出力に対応しており、運用の手間があまりかかっていないケースが多いです。GTFSデータは公共交通の運行情報の出力形式に過ぎず、また技術的な観点から見てもGTFSの形式はCSVファイルとなり複雑なものではありません。システム内に必要なデータが揃っていれば、本来システムからボタン一つで出力できて当たり前の技術レベルとなりますので、通常業務の他に「GTFSデータ作成の為だけの作業」を発生させる運用は本来望ましくありません。「GTFSデータが出力できない」というシステム会社がもし居たら技術レベルを疑っても良いかもしれません。
 ただ、システムを導入していない事業者であれば、GTFSデータが作成可能なツールを利用しデータを作り、そのデータを業務にも活用するという考え方も有効です。そして、自社でデータ作成が困難な場合には、「データ作成の外部委託」という方法もあります。しかし、データに求める品質や、データ更新や運用ルールの取り決めなど仕様に気を遣う点が多く、委託先を選ぶには一定の知識が必要です。九州運輸局のHPにデータ作成手法が解説されていますので、是非参考にしてみて下さい。

GTFSデータが作成可能な無償ツールの紹介

 国内にはGTFSデータが作成可能な無償ツールが3つあるのでご紹介いたします。それぞれのツールに特徴がありますので、利用する公共交通の規模やツール利用の用途、データ作成に携わる担当者のスキルレベルやPC等の環境を考慮して選択してみて下さい。

ツール名特徴
その筋屋
・交通事業者の利用が多い
・ダイヤ編成システムでありGTFSデータ出力機能は、
 出力フォーマットの1種類という位置づけ
・市販の数千万円するダイヤ編成システムと同等機能が利用可能
・バス停に貼る標柱時刻表の出力や運転手の交番管理などの
 機能も実装されている(一部開発中)
・ダイヤ入力は、バス停間の時間帯別所要時間と
 始発時刻を入力するスタイルが基本となる
・インターネットからDLするWindowsソフトウェアとなるので、
 組織のセキュリティポリシーの確認をオススメ
DLManual
見える化
共通入力
フォーマット
・市区町村や小規模なバス事業者での利用がオススメ
・Excelベースで、特別なソフトウェアの導入が必要ない
 (VBAマクロが動作する環境が必要)
・多くの路線がある事業者には向かない
・元々、三重県内の自治体が国内コンテンツプロバイダに
 データを提供する目的で作られたツールであり、
 GTFSが国内で普及する前から存在し運用年数が長い
・異動が繰り返される自治体職員でも入力が行えるよう、
 入力のし易さにこだわっている
DLManual
西沢ツール
・Excelベースで、特別なソフトウェアが必要ない
 (VBAマクロが動作する環境が必要)
・多くの路線がある事業者には向かない
・GTFSデータ作成に特化したツールで設定できる項目が多い。
・見える化共通入力フォーマットでは設定できない
 GTFSデータの項目も設定が可能
・GTFSデータの項目にも対応しているデータ入力を行う際には、
 データ項目の意味をある程度理解している必要がある
・Shapeデータ作成ツールも別途提供されている
DLManual

GTFSデータの作成に必要な時間について

 GTFSデータを作成する際には、事前にバスの運行に関する情報を集めておく必要があります。データさえ用意できていれば、EXCELベースのツールであればコピー&ペーストで大部分のデータ入力を済ませることができ、作業時間はそれ程かかりません。
 作業時間に大きな影響を与えるのは「のりば単位での停留所緯度経度の取得」「対キロ運賃制を導入している場合の運賃データ入力」であり、停留所の緯度経度データが事前に用意できていて、均一運賃制度であれば、作業時間1日でもGTFSデータを作成することは十分可能です。

 データ作成/更新に必要な時間は、担当者のスキルや路線の規模等にもよりますが、「見える化共通入力フォーマット」の利用を想定した作業時間を以下にまとめておきます。

ツール操作方法の習得/研修会について

 既に紹介させていただいたように各ツールごとにデータ入力マニュアルは用意されていますが、それだけでは担当者が独学で学ぶ必要があり、データ入力に取り掛かるハードルが高いのも現実です。その対策として都道府県が主導してデータ入力に関わる研修会が開かれるケースも増えている。私も各地で講師を務めていて、今年度は[青森県・秋田県・新潟県・群馬県・静岡県・岡山県・広島県・徳島県]で講師を務めています。過去の研修会の開催実績はコチも参考にしてみて下さい。

参考資料

九州運輸局「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)作成方法検討マニュアル」
https://wwwtb.mlit.go.jp/kyushu/content/000101467.pdf

公共交通トリセツ「GTFSってなんですか?」

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