「おきなわ空想路線図を作る!」データ活用ワークショップに参加してみて(前編)

担当:諸星賢治(合同会社MoDip)

はじめに

 以前に公共交通トリセツの記事でも紹介したGTFS形式のオープンデータは2022年も国内各地で公開が進み、2022年12月末現在で【573事業者, 静的データ718種類, 動的データ76種類】のデータが公開されました。
 公開されたGTFSデータはGoogleマップ等の経路検索サービスに提供されるだけではなく、地域公共交通計画を策定する際にも地域を運行する公共交通を可視化し把握するために役立てられています。その他、GTFSデータ整備事業の周知や公共交通に興味を持ってもらう目的で開催されるワークショップの題材としても活用されています。今回は私が参加した沖縄県で行われたワークショップの内容を紹介いたします。

イベントの概要

 2022年夏、沖縄県において「誰もが使いやすい交通、理想の交通ってなんだろう?」をテーマに、現状の公共交通ではカバーできていない生活や観光の移動ニーズを考え、そのニーズに答える新たな交通手段を検討した上で、その交通手段をデータ化して路線図上に可視化することを目的としたワークショップが開催されました。


 主催者側の意図としては、タイトルに”空想”と入っていることにもあるよう、新しい交通手段を考える上で運行経費や運転手の確保などの現実的な問題はあまり深く考慮せず、参加者が皆で「理想の交通」について自由に考え【交通や移動】について興味を持ってもらうとともに、「理想の路線」をデータ化し可視化することで、人に情報を伝えやすくなる価値に気付いてもらいたいという狙いがありました。
 イベントは3部構成となっており、7/16開催のオンラインのプレイベント①から始まり、7/30に現地で参加者同士が初めて顔を合わせるプレイベント②を行い、最後のメインイベントが8/16・17に行われました。
 参加者はIT事業者、交通事業者、観光事業者、自治体、教育機関、コンサルタント、メディア、学生など様々な方が県内外から集まりました。また参加者の中には日頃、自動車やバイクで通勤通学をしており、公共交通を利用していない人たちが多く含まれていました。 イベントの詳細は、こちらの開催報告ページに詳細が書かれていますので、今回の記事では概要と私の感想を伝えたいと思います。

  • 主催:Okinawa Open Data Challenge 2022実行委員会
    (主に昨年度のワークショップ参加者が有志となり実行委員会を結成)
  •  運営:一般社団法人 沖縄オープンラボラトリ(OOL)
  •  参加者
    • プレイベント①:38名 
    • プレイベント②:26名
    • メインイベント:28名

ベースとなる公共交通機関のデータ

 沖縄県内の公共交通機関の情報と公共性の高い観光情報をオープンデータ化して公開しています。公共交通事業者をはじめ、地元企業や団体と連携し、地域の公共性の高い情報資産を“地域”のために残していくためにデータメンテナンス、利活用促進のためのコミュニティ作りを進めています。

プレイベント①(2022/7/16 @Zoom)

 現地で開催されるイベントに先だって、事前学習を目的としたオンラインイベントが開催されました。

  • グループワーク「自己紹介、参加動機、日頃から感じている移動の課題」
  • 講演「事業者・自治体の県内事例紹介、ハワイの人を中心とした交通・街の設計、公共交通の公共性について、GTFSに関して」
  •  パネルディスカッション「使いやすい公共交通ってなんだろう?」

 この日のイベントに参加して気付いたのは参加者の所属や居住地、公共交通との接し方が異なる点でした。この手のイベントだと公共交通に興味を持つ人たちが多く参加されるイメージがありますが、このイベントでは日頃から公共交通を使っていない参加者が多くいたり、地域に詳しくない方も参加しているのが印象的でした。
 沖縄県内の参加者からは「公共交通は使いにくい」という意見が多い一方で、県外の参加者からは「公共交通は日頃から使っていて、最近は色々な移動手段が増えてきている」と、公共交通に対するイメージが全く違うのも特徴でした。イベントを通じてこのメンバーで議論を重ねて生み出される「理想の交通」はどのようなものか、期待が膨らむ1日でした。

参加者アンケート
参加者の居住地
イベントへの参加目的

イベントの様子

プレイベント② (2022/7/30 @沖縄県立図書館)

 現地開催初日となったこの日は参加者が初めて顔を合わせ、翌月のメインイベントに向けたチームビルディングや検討するテーマ決定など、イベントの準備を進める上で大切な1日でした。

  •  テーマ決め「このイベントで取り組みたいテーマを検討」
  •  チームビルティング「個人で考えたテーマを元にチーム分け」
  •  グループワーク「解決したい課題抽出と路線作成に必要なデータや手法を検討」

 主催者としては参加者の希望に沿う形でチーム分けできるか不安でしたが、「課題を解決したい地域」と「解決したい観光客の課題やニーズ」という視点でチーム分けを行う事で6つのチームを作ることができ、メインイベントに向けてチーム単位で活発な議論が行われているのを見て安心しました。また今回のイベント参加のため初めて沖縄に来られた方も居り、イベントを開催した価値も感じました。コロナ禍での開催だったため懇親会が開催できなかったのは残念でしたが、次回開催の際にはぜひ実現させたいと思います。

イベントで投影されたスライド

会場の様子
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後編へつづく

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